教科書やノートを何度も読み返しているのに、模試や定期テストになると、
内容を思い出せないことはありませんか。
結論から言うと、覚えた内容を定着させるには、読み返す回数を増やすよりも、
「思い出す練習」を取り入れる方が近道です。
この記事では、アクティブリコール(想起練習)の基本的な考え方とやり方を、
ノートやアプリでの実践方法、化学の具体例も交えて解説します。
アクティブリコール(想起練習)とは何か
アクティブリコールとは、教科書やノートを見ずに、覚えた内容を自分の頭から思い出そうとする勉強法です。
「想起練習」とも呼ばれ、読む・書き写すといったインプット中心の勉強法とは性質が異なります。
読み返す・マーカーを引く勉強法との違い
教科書を読み返したり、重要な部分にマーカーを引いたりする勉強法は、取り組んだという実感を得やすい方法です。
ただし、読んでいる間は情報が目の前にあるため、「わかった気になる」ことと、
「実際に思い出せる」ことの差に気づきにくいという弱点があります。
アクティブリコールは、あえて教材を見ない状態を作り、この差を可視化する勉強法だと言えます。
| 比較項目 | 読み返し・マーカー引き | アクティブリコール |
|---|---|---|
| 学習中の負荷 | 低い(目で追うだけ) | 高い(自力で思い出す) |
| 「わかった気」との差 | 気づきにくい | その場で分かる |
| 時間が経った後の定着 | 失われやすい傾向 | 残りやすい傾向 |
「テスト効果」と呼ばれる心理学の考え方
心理学の分野では、思い出す練習によって記憶が定着しやすくなる現象を「テスト効果」
と呼びます。
読み返すだけの学習より、思い出す練習を挟んだ学習の方が、時間が経ってからのテストで好成績だったという報告が、
複数の心理学の実験で示されていると言われています。
豆知識アメリカの心理学者カーピックらが2011年に科学誌サイエンス(Science)で発表した実験では、
内容を整理してまとめ直す学習法より、思い出す練習をしたグループの方が、
1週間後のテストで良い結果だったと報告されています。
具体的な数値は実験条件により異なるため、正確な条件を知りたい方は原論文を確認することをおすすめします。
思い出せないときほど記憶に残りやすい理由
アクティブリコールでは、簡単に思い出せる内容より、「なかなか出てこないけれど、
頑張って思い出せた」内容の方が、記憶に残りやすい特徴があります。
思い出す作業そのものが負荷の高い脳の活動であり、この負荷が記憶の定着に関わっているためです。
そのため、すぐに答えを見てしまうのではなく、多少時間がかかっても自力で思い出そうとする姿勢が重要です。
My Self_Learnの指導でも、教材を見せずに口頭試問で説明させる場面を取り入れており、
これはアクティブリコールの考え方に近い取り組みです。
アクティブリコールの基本的なやり方
アクティブリコールは、特別な教材や道具がなくても、今使っている教科書や問題集だけで始められます。
基本の流れは、次の3ステップです。
ステップ1 教材を閉じて思い出す
まず、教科書やノートを閉じ、その単元で覚えたはずの内容を、紙に書き出すか、
声に出して説明します。
完璧に説明できなくてもよいので、思い出せる範囲をすべて出し切ることが目的です。
ステップ2 教材を開いて答え合わせをする
思い出す作業が終わったら、教科書やノートを開き、書き出した内容と照らし合わせます。
合っていた部分だけでなく、思い出せなかった部分、間違って覚えていた部分をはっきりさせます。
ステップ3 抜けを特定して復習する
思い出せなかった部分だけを、教科書に戻って確認し、もう一度思い出す練習を行います。
すでに思い出せた部分を何度も読み返すより、抜けている部分に時間を使う方が効率的です。
ポイント①教材を閉じて思い出す②開いて答え合わせをする③抜けた部分だけ復習するこの3ステップを繰り返すだけで、
アクティブリコールは始められます。
目的別の具体的な実践方法
ここからは、ノート・アプリ・問題演習の3つの場面に分けて、具体的なやり方を紹介します。
ノートを使った具体的なやり方
ノートを半分に折るか、線を引いて2つの欄に分けます。
左側には覚えたいキーワードや問題文だけを書き、右側には答えを書かずに空けておきます。
復習のときは、右側を隠しながら左側だけを見て、答えを思い出す練習をします。
単語帳のように、1ページに1テーマずつまとめておくと、復習のたびに使い回せます。
暗記アプリを使う場合の注意点
スマートフォンの暗記アプリには、単語や用語をカード形式で登録し、答えを隠した状態で出題してくれるものがあります。
こうしたアプリは、移動時間やすき間時間にアクティブリコールを取り入れやすい手段です。
ただし、答えを見てすぐに「わかる」を選んでしまうと、実際には思い出せていない状態が放置されやすくなります。
声に出す、または紙に書き出してから答えを確認する一手間を加えると、効果を実感しやすくなります。
Q. アプリと紙のノート、どちらがよい?A. どちらも思い出す作業を省略しなければ効果は得られます。
すき間時間はアプリ、まとまった時間は紙のノートなど、場面によって使い分けるのが現実的です。
化学の問題演習に組み込む具体例(松山市の受験生想定)
松山市内の高校でも、化学基礎から化学まで覚える範囲が広いため、直前にまとめて復習しようとして時間が足りなくなる受験生が少なくありません。
化学の場合、公式や反応式を覚えるだけでなく、覚えた内容を問題の中で使えるかどうかが重要です。
例えば、無機化学の金属イオンの沈殿反応であれば、教科書を閉じた状態で、
「この金属イオンにこの試薬を加えると、何色の沈殿ができるか」をノートに書き出してみます。
そのうえで、実際の入試問題を解いて答え合わせをすると、知識として覚えていたつもりでも、
問題文の中では使えていなかった部分が見えてきます。
定期テスト前や模試前の限られた時間の中でも、単元ごとに「覚えた内容を問題で使えるか」
を確認する習慣をつけておくと、本番での失点を減らしやすくなります。
よくある失敗と改善のコツ
アクティブリコールは、やり方を誤ると、効果を実感しにくくなります。
ここでは、つまずきやすい3つのパターンを紹介します。
思い出す前に答えを見てしまう
「思い出せない」状態になった瞬間、つい教科書や解答を見てしまうことがあります。
思い出せないことは失敗ではなく、弱点が見つかったという成果です。
すぐに答えを見る前に、10秒から30秒程度は粘って思い出そうとする時間を作りましょう。
得意な範囲ばかり繰り返す
思い出しやすい範囲は、繰り返すたびに「できている」実感を得やすくなります。
一方で、苦手な範囲ほど後回しにされがちです。
答え合わせの際に、間違えた範囲だけを別にまとめておき、次の復習ではその部分を優先する仕組みを作っておきましょう。
復習のタイミングが偏る
1回思い出せたからといって、その後まったく復習しないと、時間の経過とともに思い出しにくくなります。
翌日、1週間後など、間隔を空けて複数回思い出す機会を作ることが、記憶を残すうえでの基本です。
復習のタイミングを先に決めておくと、間隔が偏りにくくなります。
自分だけでの実践が難しいと感じたら
ここまで紹介した方法は、基本的に一人でも取り組めます。
一方で、「何を思い出せていないのか自分では気づきにくい」「復習しても本番で思い出せない」
という場合は、第三者に確認してもらう方が、早く改善できることがあります。
My Self_Learnでは、単元ごとの確認テストや口頭試問を通して、
「覚えているつもり」と「実際に使える状態」の差をその場で確認しています。
確認テストの結果は、その後の学習計画に反映する仕組みになっており、抜けている範囲を放置しない指導を心がけています。
特に化学については、単元別のテストゼミや類題を通じて、覚えた知識を入試問題の中で使えるかまで確認する機会を用意しています。
指導にあたる講師自身も医学部再受験を経験しており、覚えるだけで終わらせず、
自分の頭から説明できる状態まで仕上げることの重要性を、自らの受験勉強を通して実感しています。
思い出す練習を取り入れても成果に結びつかないと感じる方や、松山市周辺で化学の対策を重視して塾を検討している方は、
My Self_Learnの公式サイトで、指導内容を確認してみてください。
思い出す練習と合わせて、1分間ライティングで記憶の定着を確認する方法や、
4回復習法による効果的な復習タイミングについても参考になりますので、
あわせてご覧ください。
アクティブリコールは、英単語の暗記にも直接活かせる方法です。
英単語に絞った具体的な進め方は英単語の覚え方|大学受験で忘れない暗記のコツと勉強法でまとめていますので、
あわせてご覧ください。
アクティブリコールは、日本史の年号暗記にも活かせる方法です。
年号に絞った具体的な語呂合わせや覚え方は日本史の年号の覚え方でまとめていますので、
あわせてご覧ください。
日本史は年号だけでなく、通史の流れをつかむことが得点力につながります。
基礎から進める勉強法全体は日本史の勉強法|大学受験で通史を得点源に変える基礎からの進め方で解説していますので、
あわせてご覧ください。
世界史も日本史と同じく、通史の流れをつかむことが得点力につながります。
基礎から進める勉強法全体は世界史の勉強法|大学受験で通史を得点源に変える基礎からの進め方で解説していますので、
あわせてご覧ください。
また、覚えた内容を問題で
使おうとすると手が止まる、という方には「考える」と「解く」を分ける勉強法も参考になります。
想起練習は英単語や理科の暗記だけでなく、
古文の助動詞のような文法暗記にも応用できます。
具体的な取り組み方は
古文の助動詞の覚え方で紹介しています。
英単語がなかなか覚えられないという方は、
想起練習が抜けているケースも多く英単語が覚えられない高校生に多い原因と対処法で、
自分の原因タイプを確認してみてください。
思い出す練習をさらに深めたい方は、人に教える勉強法とプロテジェ効果の使い方も役立ちます。
アクティブリコール(想起練習)のやり方|今日から始める記憶定着の勉強法:まとめ
覚えた内容を定着させるには、教科書を読み返す回数を増やすことよりも、
「思い出す練習」であるアクティブリコールを取り入れる方が近道です。
基本のやり方は、①教材を閉じて思い出す、②開いて答え合わせをする、③抜けた部分だけ復習する、
という3ステップです。
ノート、暗記アプリ、問題演習など、取り入れる場面はさまざまですが、「思い出す作業を省略しない」
という点は共通しています。
化学のように覚える量が多い科目ほど、覚えた知識を問題の中で使えるかどうかを確認する習慣が点数に直結します。
自分だけでの実践に難しさを感じる場合は、塾のサポートも選択肢に入れてみてください。




コメント