記憶の司令塔「海馬」の役割
「覚えたはずなのに、テストになると思い出せない」という悩みを持つ受験生は多いはずです。
その仕組みを理解するうえで欠かせないのが、脳の中で記憶に重要な役割を担う「海馬」です。
海馬は、目や耳から入ってきた情報のうち、必要な情報とそうでない情報を整理し、
短期的な記憶を長期的な記憶へと移していく働きをしています。
認知症では海馬が萎縮することが知られており、
その結果として新しい出来事を覚えにくくなることが分かっています。
海馬は、生まれてからずっと同じ状態が続くわけではなく、
生活習慣によって働き方が変化しやすい部位だと考えられています。
中でも研究が進んでいるのが、睡眠との関係です。
記憶の3つの種類
記憶は、保持できる時間の長さによって、大きく3つの種類に分けられます。
記憶の3つの種類
- 感覚記憶
- 短期記憶
- 長期記憶
感覚記憶
感覚記憶とは、目や耳などの感覚器官から入ってきた情報が、ごく短い時間だけ保持される記憶です。
視覚からの情報(アイコニックメモリ)は1秒ほど、
音として入ってくる情報(エコイックメモリ)は3〜4秒ほどで消えるとされています。
通学中にすれ違った人の顔をほとんど覚えていないのは、
視覚・聴覚から膨大な情報が入ってくる一方で、
そのほとんどが感覚記憶の段階で消えてしまうためです。
短期記憶
短期記憶とは、感覚記憶よりも長く、数十秒程度保持される記憶のことです。
心理学の実験では、リハーサル(繰り返し)をしない場合、
短期記憶は15〜30秒ほどで失われるとされています。
また、一度に保持できる情報量にも限界があり、
人が短期記憶として保持できる項目数はおおよそ7±2個程度だと報告されています。
初対面の人の名前を聞いた直後は覚えていても、数十秒後には思い出せなくなるのは、
この短期記憶の性質によるものです。
繰り返し復唱したり、意味づけをしたりすることで、
短期記憶の情報を長期記憶へ移しやすくなります。
長期記憶
長期記憶は、一度定着すると長期間にわたって取り出せる状態になっている記憶です。
自宅の場所や自分の誕生日を忘れないのは、それらが長期記憶として定着しているためです。
勉強で覚えた知識や公式は、できる限り長期記憶に移しておくことが、
入試本番で使える状態につながります。
海馬と睡眠の関係
海馬は、睡眠と深く関わりのある部位だと考えられています。
睡眠中には、その日に入ってきた情報の中から必要なものと不要なものが整理され、
一部が長期記憶として定着していくとされています。
そのため、睡眠が不足すると、覚えた内容が整理されないまま忘れられやすくなり、
学習の効率が下がってしまう可能性があります。
受験生にとっては、勉強時間を確保することと同じくらい、
睡眠時間を確保することも大切だといえます。
受験生に必要な睡眠時間の目安
アメリカの国立睡眠財団(National Sleep Foundation)は、
年代別の推奨睡眠時間を次のように示しています(2026年8月確認)。
| 年代 | 推奨される睡眠時間 |
|---|---|
| 高校生(14〜17歳) | 8〜10時間 |
| 浪人生・既卒生(18〜25歳) | 7〜9時間 |
ポイント
受験直前になるほど睡眠時間を削りたくなりますが、睡眠不足は記憶の整理を妨げ、
かえって学習効率を下げる可能性があります。最低でも7時間程度は確保することを心がけましょう。
暗記するなら朝より夜がおすすめ
海馬をはじめとする脳は、睡眠の間に記憶を整理していると考えられています。
そのため、覚えた内容を長期記憶に定着させたい場合は、
朝よりも寝る前の時間に暗記科目へ取り組む方が向いているといえます。
寝る前におすすめの暗記内容
- 漢字の書き取り
- 英単語の暗記
- 日本史の年号
- 古典の単語
また、心理学では、新しく覚えた情報の直後に別の情報が入ってくると、
前の記憶が思い出しにくくなる「干渉」という現象が知られています。
暗記した直後にスマートフォンやテレビで新しい情報を見てしまうと、
せっかく覚えた内容と新しい情報が混ざり合い、思い出しにくくなることがあります。
暗記の直後はできるだけ新しい情報を入れず、そのまま眠ることを意識すると、
記憶を定着させやすくなります。
「見返す」より「思い出す」ほうが記憶に残る
復習というと、教科書やノートを読み返すイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし心理学の研究では、ただ読み返すよりも、
何も見ずに思い出そうとする「想起練習(テスト効果)」の方が、
記憶の定着に効果的だと報告されています。
具体的には、教科書を読み返す代わりに、単語帳を隠して自分でテストしたり、
覚えた内容を何も見ずに紙に書き出したりする方法です。
思い出す作業そのものが記憶を強化するため、正解できたかどうかだけでなく、「思い出そうとする」
過程自体に意味があると考えられています。
記憶を定着させる復習のタイミング
記憶は、時間が経つほど思い出しにくくなっていく性質があります。
そのため、1回覚えて終わりにするのではなく、時間を空けながら繰り返し復習する「分散学習」が、
長期記憶への定着に効果的だとされています。
復習タイミングの目安
- 覚えた当日、寝る前にもう一度目を通す
- 1週間後に、覚えているか確認する
- 1ヶ月後に、もう一度復習して定着度をチェックする
一度に長時間かけて覚え直すよりも、短時間の復習を間隔を空けて繰り返す方が、
記憶に残りやすいといわれています。
記憶の仕組みを踏まえた勉強法を身につけるには
記憶の仕組みを理解しても、自分の暗記が実際にどれくらい定着しているかは、
一人で判断しづらいものです。
松山市の大学受験塾My Self_Learnでは、確認テストや単元ごとのテストゼミを通して、
覚えた内容が入試問題で使える状態まで定着しているかを確認しています。
暗記した「つもり」で終わっていないか客観的に確認したい方は、
一度相談してみるのも一つの方法です。
また、
受験勉強の暗記に活用することができる場所法についても参考になりますので、
あわせてご覧ください。




コメント