エビングハウスの忘却曲線とは
「せっかく覚えたのに、少し時間が経つとすぐ忘れてしまう」と感じたことはないでしょうか。
エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが、
自分自身を被験者にして行った記憶実験の結果をもとにしたグラフです。
エビングハウスは意味を持たない音節(たとえば「ZUC」のような文字の並び)を暗記し、
時間が経ったあとにもう一度同じ量を覚え直すのに、どれくらい時間を節約できるかを調べました。

ここで注意したいのは、エビングハウスが測定したのは「どれだけ思い出せたか」ではなく、
「覚え直すときの手間がどれだけ省けたか(節約率)」だったという点です。
インターネット上では「1時間後には56%忘れる」「1日後には76%忘れる」
といった数字が広く紹介されていますが、
これは実験結果を分かりやすく言い換えて広まったものであり、
元の実験そのものが忘れた割合を直接示しているわけではありません。
一般に知られている目安として、次のような数字がよく紹介されています。
- 【よく紹介されるエビングハウスの忘却曲線の目安】
- 20分後には42%忘れる
- 1時間後には56%忘れる
- 9時間後には64%忘れる
- 1日後には76%忘れる
あくまで一般的な目安として覚えておきましょう。
細かい数値の正確さにこだわりすぎる必要はありませんが、
「何もしなければ、覚えた内容は時間とともにかなりの割合を忘れてしまう」という大枠は、
多くの記憶研究に共通して見られる傾向です。
だからこそ、暗記した内容を長く覚えていたいなら、復習のタイミングが重要になります。
なぜ「忘れる前提」で復習する必要があるのか
人間の記憶は、一度覚えただけでは忘れることを前提に作られています。
そのため、暗記の効率を上げたいなら「忘れないように頑張る」よりも、
「忘れかけたタイミングで思い出す練習をする」という発想のほうが現実的です。
これは、自分の力で思い出そうとする「想起の練習」を繰り返すことで記憶が定着しやすくなるという、
学習心理学でよく知られている考え方(検索練習・分散学習)とも一致します。
一夜漬けで一度に長時間暗記するよりも、短い復習を時間を空けて繰り返すほうが、
同じ時間をかけても記憶に残りやすいとされています。
受験勉強のように覚えるべき量が多い場合は、この「復習のタイミング」を意識できるかどうかで、
暗記にかかる総時間が大きく変わってきます。
忘却曲線をベースにした復習タイミングの目安
復習のタイミングについては、カナダのウォータールー大学の学習支援ページで、
次のような目安が紹介されています。

学習した後の24時間以内に10分程度復習すると、記憶はほぼ元の水準まで戻るとされています。
そして1週間以内であれば5分程度、1か月以内であれば2〜4分程度の復習で、
同じように記憶を呼び戻せるという目安が示されています。
具体的な目安を表にまとめると、次のようになります。
| 経過期間 | 復習にかかる時間の目安 |
|---|---|
| 24時間以内 | 10分程度 |
| 1週間以内 | 5分程度 |
| 1か月以内 | 2〜4分程度 |
合計すると、最初の1か月で20分に満たない復習時間で、
一度覚えた内容を忘れにくい状態に保てるという計算になります。
もちろん覚える内容の難易度や量によって多少前後しますが、
「復習は思っているより短い時間でよい」という点は、多くの受験生にとって心強いポイントです。
受験勉強に取り入れる具体的な方法
忘却曲線の考え方を実際の受験勉強に落とし込むなら、次のような流れが実践しやすいです。
- 【受験勉強での復習スケジュール例】
- 授業や自習で覚えた当日のうちに、要点だけ軽く見直す
- 翌日、覚えているかを何も見ずに思い出してみる
- 1週間後、問題演習の形でアウトプットして確認する
- 1か月後、間違えた部分だけをまとめて総復習する
思い出す練習が復習の核になります。
ポイントは、ただ教科書やノートを読み返すだけでなく、
何も見ずに思い出そうとしてから答え合わせをする「アウトプット型」の復習にすることです。
暗記カードや一問一答形式の問題集は、この思い出す練習をやりやすくしてくれる道具です。
また、化学の元素の性質や反応式のように覚える量が多い科目では、
一度に全部を復習しようとせず、間違えた項目だけを抜き出した復習リストを作ると効率が上がります。
覚え直すたびにリストを短くしていけば、本当に苦手な部分だけに時間を使えるようになります。
復習でありがちな失敗パターン
せっかく復習の時間を取っても、やり方によっては効果が薄くなってしまうことがあります。
代表的な失敗パターンを知っておくと、同じ間違いを避けやすくなります。
1つ目は、最初から完璧に覚えようとして1回の暗記に時間をかけすぎることです。
忘却曲線の考え方では、1回で完璧に覚えるよりも、短い復習を複数回に分けたほうが定着しやすいとされています。
2つ目は、教科書やノートを読むだけで満足してしまう「受け身の復習」です。
読むだけでは分かった気になりやすく、実際に問題を解くと思い出せないということが起こります。
何も見ずに答えを言ってみる、白紙に書き出してみるなど、自分から思い出そうとする一手間を加えることが大切です。
3つ目は、復習の間隔が空きすぎる、または詰まりすぎることです。
翌日の復習を忘れて1週間後にまとめて復習しようとすると、すでにかなり忘れてしまっており、
思い出すのに時間がかかってしまいます。
反対に、覚えた直後に何度も繰り返すだけでは、時間をかけたわりに効果が出にくくなります。
関連して、
受験勉強の暗記に活用することができる場所法の内容も押さえておくと、
学習の進め方がより明確になります。
【復習のタイミングがわかる】エビングハウスの忘却曲線に基づく効率的な暗記法についてわかりやすく説明してみた:まとめ
エビングハウスの忘却曲線が示しているのは、
「一度覚えたことは時間とともに思い出しにくくなるが、
適切なタイミングで復習すれば短時間で覚え直せる」という記憶の性質です。
24時間以内、1週間以内、1か月以内という3つのタイミングを意識して、
思い出す練習を中心にした復習を積み重ねることが、暗記の負担を減らす近道になります。
一人で復習を続けるのが難しいときは
復習のタイミングが分かっていても、学校の課題や部活と両立しながら、
一人で計画通りに続けるのは簡単ではありません。
「覚えたつもりだったのに、いざ問題を解くと思い出せない」という状態が続く場合は、
復習の量やタイミングそのものを見直す必要があるかもしれません。
愛媛県松山市の大学受験塾My Self_Learnでは、定期的な確認テストやテストゼミを通じて、
生徒がどこまで理解・定着できているかを可視化し、その結果を一人ひとりの学習計画に反映しています。
「思い出す練習」を自分だけで管理するのが難しいと感じる方にとっては、検討しやすい選択肢の一つです。




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