元素記号もイオン化傾向も覚えたはずなのに、問題を解くといざ出てこない。
そんな経験がある受験生は少なくないはずです。
結論から言うと、化学の暗記が定着しにくいのは、覚える対象の性質に合わせて記憶術を使い分けていないことが原因である場合が多いです。
この記事では、元素記号・イオン化傾向・化学反応式・有機化合物の構造など、
化学特有の暗記対象に合わせて、語呂合わせやチャンキングをどう使い分けるかを解説します。
化学の暗記がつらいと感じる3つの原因
記憶術の具体的な使い方に入る前に、なぜ化学の暗記だけが特につらく感じるのかを整理しておきます。
覚える対象の種類が多い
化学は、元素記号や周期表のような「知識としての暗記」、イオン化傾向のような「順序の暗記」
、化学反応式のような「関係性の暗記」、有機化合物の構造式のような「形の暗記」
が同時に存在する科目です。
暗記対象の種類が違えば、本来は合う記憶術も変わってきます。
丸暗記と理解が切り離されている
意味を理解しないまま記号や式だけを覚えようとすると、短期的には覚えられても、
数週間後には抜け落ちてしまいます。
理解と暗記を別々に進めていることが、「覚えたのに使えない」状態の一因です。
一度に覚えて終わりにしている
テスト直前にまとめて詰め込み、その後は復習しないまま次の単元に進んでしまうケースもよく見られます。
復習のタイミングを決めずに暗記を1回で終わらせると、記憶は時間とともに薄れていきます。
化学の暗記に使える記憶術の全体像
暗記術にはいくつかの種類があり、それぞれ得意な対象が異なります。
まずは全体像を整理しておきましょう。
暗記対象と記憶術の組み合わせ
以下は、化学でよく出てくる暗記対象と、相性のよい記憶術の目安です。
| 暗記対象 | 相性のよい記憶術 |
|---|---|
| イオン化傾向・元素の並び順 | 語呂合わせ |
| 元素記号・官能基の種類 | チャンキング(グループ化) |
| 反応式・用語の全体 | 分散学習(間隔をあけた反復) |
| 覚えにくい概念・実験操作 | エピソード記憶(体験と結びつける) |
| 覚えた内容の定着確認 | アクティブリコール(想起練習) |
この記事で重点的に扱う技術
分散学習・エピソード記憶・アクティブリコールについては、それぞれ独立した記事で詳しく解説しています。
この記事では、化学の暗記対象と特に相性のよい「語呂合わせ」と「チャンキング」
を中心に、具体的な使い方を解説します。
ポイント記憶術は「どれか1つを極める」ものではなく、暗記対象に合わせて組み合わせて使うことで効果を発揮しやすくなります。
語呂合わせで化学の暗記量を減らす
語呂合わせは、順序や組み合わせを覚える暗記対象と相性がよい記憶術です。
理解では説明しにくい部分に絞って使うと、効率よく暗記量を減らせます。
イオン化傾向の語呂合わせ
金属のイオン化傾向の並び順(K→Ca→Na→Mg→Al→Zn→Fe→Ni→Sn→Pb→H→Cu→Hg→Ag→Pt→Au)には、
「貸そうかな まあ あてにするな ひどすぎる借金」という語呂合わせが広く知られています。
並び順そのものには理論的な理由があるわけではないため、語呂合わせで覚えるのに向いた範囲です。
有機化合物の官能基を覚える工夫
有機化合物は、官能基ごとに性質や反応が決まっているため、官能基名と代表的な性質をセットにした短いフレーズを自分で作って覚えると定着しやすくなります。
例えば「カルボキシ基は酸性を示す」のように、構造と性質を1文で結びつけておくと、
構造式を見た瞬間に性質を思い出しやすくなります。
自分でオリジナルの語呂合わせを作るコツ
既存の語呂合わせが見つからない範囲は、自分で作ってしまう方法もあります。
コツは、意味のつながらない単語の羅列にせず、多少無理やりでも情景として思い浮かぶ文にすることです。
自分で作った語呂合わせは、他人が作ったものより思い出すきっかけになりやすい傾向があります。
チャンキングで元素記号・反応式を整理する
チャンキングとは、バラバラの情報を意味のあるまとまり(チャンク)に分けて覚える方法です。
人が一度に覚えられる情報の数には限界があると言われており、情報をまとめることで、
実質的に覚える単位を減らせます。
元素記号は周期表の族でグループ化する
元素記号を1つずつ独立した知識として覚えるのではなく、アルカリ金属、
ハロゲンといった族単位でまとめて覚えると、共通する性質を手がかりにできるため、
1つずつ覚えるより負担が減ります。
化学反応式は反応のパターンで分類する
中和反応、酸化還元反応、沈殿反応といった反応のタイプごとに反応式をグループ分けしておくと、
初めて見る反応式でも、どのパターンに当てはまるかを手がかりに考えられるようになります。
有機化合物は官能基ごとにグループ化する
アルコール、カルボン酸、エステルなど、官能基ごとに構造式と性質をまとめて覚えておくと、
構造決定問題で候補を絞り込みやすくなります。
補足チャンキングは、心理学者ミラーが提唱した「人が短期的に覚えられる情報のまとまりには限りがある」
という考え方を応用したものと言われています。
情報をグループ化するほど覚えやすくなる、という一般的な傾向として参考にしてください。
分散学習・エピソード記憶もあわせて使う
語呂合わせとチャンキングで暗記の負担を減らせたら、覚えた内容を定着させる工程もあわせて取り入れます。
分散学習で繰り返し思い出す
一度に集中して覚えるより、間隔をあけて複数回に分けて復習する方が、記憶が定着しやすいと言われています。
語呂合わせで覚えた内容も、数日後・1週間後と間隔をあけて思い出す機会を作ると、
より長く記憶に残りやすくなります。
エピソード記憶で暗記を体験に変える
沈殿の色が変わった実験の様子や、間違えた問題を解き直したときの状況など、
出来事とセットで覚えた内容は、忘れにくいと言われています。
語呂合わせを作ったときの状況や、覚えられずに苦労した反応式ほど、後から思い出しやすい傾向があります。
アクティブリコールで定着を確認する
語呂合わせやチャンキングで整理した内容は、教科書を見ずに思い出せるかを定期的に確認することで、
本当に定着しているかをチェックできます。
今日から始める1週間の実行プラン
ここまでの内容を、1週間で試せるプランにまとめました。
まずは1つの単元(イオン化傾向や官能基など)で試してみてください。
| 日程 | 取り組む内容 |
|---|---|
| 1日目 | 暗記対象を「順序」「まとまり」「関係性」に分類する |
| 2日目 | 順序の部分は語呂合わせを探す・自分で作る |
| 3日目 | まとまりの部分をチャンキングで整理する |
| 4日目 | 問題演習でその日のうちに使ってみる |
| 5日目 | 教科書を見ずに思い出せるか確認する(アクティブリコール) |
| 6〜7日目 | 間隔をあけて再度思い出せるか確認する |
Q&A:語呂合わせは全ての範囲で使ってよいですか?理解で説明できる部分まで語呂合わせに頼ると、
応用問題に対応しづらくなります。
理論から説明できない、順序や組み合わせの暗記に絞って使うのがおすすめです。
自分で対策しても定着しないときの見極め方
指導現場では、語呂合わせを覚えた直後は解けても、数週間後の確認テストで同じ問題につまずく生徒がよく見られます。
記憶術を使っても、次のような状態が続く場合は、一人での対策に限界が来ているサインかもしれません。
- 語呂合わせやチャンキングで整理はできても、問題演習になると使えない
- 覚えたはずの内容が、数週間後の確認テストで抜けている
- どの暗記対象にどの記憶術が合うか、自分では判断しづらい
My Self_Learnでは、化学の受験対策を強みとし、化学テストゼミや単元別の確認テストを通じて、
覚えた内容が入試問題で使える状態まで定着しているかを確認する指導を行っています。
「覚えたつもり」を早い段階で見つけたい方にとって、検討しやすい選択肢の一つです。
また、覚えた内容が定着しているかを確認する方法を詳しく知りたい方は、
アクティブリコール(想起練習)のやり方を、無機化学の暗記量そのものを減らす手順を知りたい方は、
無機化学の覚え方と暗記量を減らす勉強法もあわせてご覧ください。
せっかく覚えても忘れてしまう方は、
参考になります。
また、丸暗記がすぐ抜けてしまうなら、
詳しく解説しています。
そのほか、覚えたことがすぐ抜けてしまう時は、
あわせてご覧ください。
さらに、すきま時間を暗記に使いたい場合は、
参考になるはずです。
覚えた語呂合わせを、応用の効く理解に変えたい方は暗記から理解に変える「なぜ」を問う勉強法もあわせてご覧ください。
暗記が必要なのは理系科目だけではありません。
文系科目の中でも特につまずきやすい
意味・接続・活用を整理する記憶術という点で参考になります。
元素記号や価数のルールを使った
化学式の覚え方や、
金属の並び順を語呂合わせで覚える
この記事と同じ単元別の記憶術シリーズとして参考になります。
化学の暗記のコツと記憶術|語呂合わせ・チャンキングの使い方:まとめ
化学の暗記が定着しにくいのは、覚える対象の性質に合わせて記憶術を使い分けていないことが原因である場合が多いです。
イオン化傾向のような順序は語呂合わせ、元素記号や官能基のようなまとまりはチャンキングで整理し、
分散学習とアクティブリコールで定着を確認する。
この組み合わせを1週間単位で試してみることが、化学の暗記を得点に変える近道です。
それでも一人での整理や定着確認が難しいと感じる場合は、化学の指導に力を入れている塾の個別指導や進路相談を利用し、
今つまずいている単元を講師と一緒に確認するところから始めてみてください。




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