単語も公式も覚えたのに、模試の応用問題になると解けない。
そう感じている受験生は少なくありません。
結論から言うと、それは覚えた知識が「暗記」のままで、「理解」に変わっていない状態です。
「なぜそうなるのか」を自分に問いかけるだけで、知識は使える形に変わっていきます。
暗記と理解、何が違うのか
まず、暗記と理解がそれぞれどういう状態を指すのかを整理しておきましょう。
暗記は短期記憶、理解は長期記憶になりやすい
反復して覚えただけの知識は、短期的な記憶として保存され、時間が経つと忘れやすいとされています。
一方、意味や背景まで理解した知識は、長期記憶として定着しやすく、試験本番まで残りやすいという違いがあります。
「解ける」は理解して初めて手に入る力
暗記だけでは、覚えた問題と全く同じ形式の問題しか解けません。
入試本番では、覚えた知識を少し違う形で問われることがほとんどです。
「なぜこの公式を使うのか」まで理解して初めて、初見の応用問題にも対応できる力になります。
暗記と理解は対立するものではありません。
まず覚えて、そのあとに「なぜ」を問う、という順番で両方を積み上げていくのが現実的です。
「なぜ」を問うと暗記が理解に変わる
覚えた知識を理解に変えるために、最も手軽で効果的な方法が「なぜ」を問うことです。
「なぜそうなるのか」を自分で説明できるか確認する
公式や語句を覚えたら、「なぜこうなるのか」を、自分の言葉で説明できるか確認してみましょう。
説明できなければ、それはまだ暗記の段階に留まっているというサインです。
説明できて初めて、理解できたと言えます。
1回の「なぜ」で満足せず、重ねて問う
最初に返ってくる答えは、表面的なものであることが多いとされています。
「なぜ」を1回問うだけで終わらせず、その答えに対してもう一度「なぜ」と問い直すことで、
より本質的な理解に近づいていくという考え方があります。
今日からできる「なぜ」を問う勉強法
「なぜ」を問う習慣を、日々の勉強に取り入れるための、具体的な3つのやり方を紹介します。
覚えた直後に「なぜ」を自分に問いかける
公式や語句を覚えたその場で、「なぜこの形になるのか」と自分に問いかける習慣をつけましょう。
答えられなければ、教科書や参考書の解説を読み直します。
この一手間が、暗記で終わらせない分かれ目になります。
友達や先生に「なぜ」を説明してみる
覚えた内容を、人に説明するつもりで声に出してみると、自分がどこまで理解できていて、
どこから曖昧なのかがはっきりします。
説明に詰まった部分が、そのまま復習すべき場所になります。
「なぜ」の答えをノートの余白に書く
公式や語句の横に、「なぜなら」から始まる一文を書き添えるだけでも効果があります。
後で見返したときに、覚えた事実だけでなく理由まで一緒に思い出せるようになります。
「なぜ」を書く欄を作ると、復習のときに「理由まで説明できるか」を自分でチェックできるようになります。
具体例:「なぜ」を問うとこう変わる
抽象的な説明だけでは、実際にどう変わるのかイメージしにくいかもしれません。
化学の例で比べてみましょう。
暗記だけの状態
「中和反応では、酸のH+の物質量と、塩基のOH-の物質量が等しくなる」という公式を、
そのまま丸暗記している状態です。
公式通りの問題は解けても、価数の異なる酸・塩基の組み合わせに変わると、
途端に手が止まってしまいます。
「なぜ」を問った後の状態
「なぜH+とOH-の物質量が等しくなるのか」を問うと、「酸と塩基が過不足なく反応するとき、
水素イオンと水酸化物イオンが過不足なく結びつくからだ」という理由にたどり着きます。
理由が分かると、価数が変わっても「H+の総量とOH-の総量をそろえればよい」
と、自分で式を組み立て直せるようになります。
公式を覚えるだけでは、公式通りの問題しか解けません。
理由まで理解すると、条件が変わった問題にも、自分で式を組み立てて対応できます。
「なぜ」を問う勉強法が向く場面・向かない場面
「なぜ」を問う勉強法は万能ではありません。
使う場面を見極めることも大切です。
向いている場面:公式・法則・解法の理解
公式がなぜ成り立つのか、なぜその解法を選ぶのか、といった「仕組み」を扱う内容には、
「なぜ」を問う勉強法がよく合います。
特に理系科目や、因果関係を問われる社会科目の論述問題で力を発揮します。
向かない場面:単語や年号など純粋な暗記事項
英単語のスペルや、年号のような、理由よりもまず覚えることが先に必要な内容では、
無理に「なぜ」を探そうとすると、かえって非効率になります。
こうした内容は先に覚え、後から関連づけて理解を深める、という順番のほうが向いています。
化学は特に「なぜ」が効く教科です
数ある教科の中でも、化学は「なぜ」を問う勉強法との相性が特に良い教科です。
反応式や計算の手順を丸暗記しただけでは、少し条件が変わった応用問題に対応できません。
「なぜこの反応が起こるのか」「なぜこの公式が使えるのか」まで理解しておくことが、
入試化学では特に重要になります。
My Self_Learnでは、化学の指導において、答えを覚えさせるだけでなく、
口頭試問を通じて「なぜそうなるのか」を生徒自身の言葉で説明できるかを確認しています。
例えば中和反応の計算問題を解いた生徒に「なぜH+とOH-の物質量がそろうと言えるのか」
をあえて聞き返し、答えに詰まる部分があれば、そこをまだ理解に至っていない箇所として、
次の指導につなげています。
自分一人で「なぜ」を問い続けるのが難しいと感じる場合、こうした確認の仕組みを持つ指導は有力な選択肢になります。
暗記そのもののコツを
知りたい方は化学の暗記のコツと記憶術を、覚えた内容を忘れにくくする復習法を知りたい方は忘却曲線と復習計画もあわせてご覧ください。
Q. 「なぜ」を問うと時間がかかりすぎませんか。
A. すべての内容に使う必要はありません。
応用問題で間違えた箇所や、繰り返し忘れてしまう内容に絞って使うだけでも効果があります。
暗記から理解に変える「なぜ」を問う勉強法|丸暗記から抜け出すコツ:まとめ
覚えたのに解けないのは、知識がまだ暗記の段階に留まっているサインです。
覚えた直後に「なぜ」を自分に問いかけ、人に説明し、ノートに理由を書き添える。
この3つの積み重ねで、暗記は少しずつ、応用の効く理解へと変わっていきます。




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