化学式を覚えようとしても、すぐに忘れてしまうという高校生は少なくありません。
結論から言うと、化学式は元素記号と価数のルールを理解すれば、
一つずつ丸暗記しなくても自分で組み立てられるようになります。
化学式が覚えられないと感じる理由と結論
「化学式は覚えるしかないのか」と感じるのは、覚える量が多いからではなく、
覚え方の順番が整理できていないことが原因であるケースが多いです。
化学式が覚えられないと感じる主な原因
NaClやCaCl2、Al2O3のように、物質によって数字の位置や個数が変わるため、
一つひとつを個別の模様として暗記しようとしてしまいます。
その結果、似たような化学式を混同したり、
少し違う物質が出てきたときに対応できなくなったりすることが起きやすくなります。
元素記号の暗記と化学式の組み立て方を、同じ「暗記」として一括りにしている点も、
負担を大きく感じる原因の一つです。
覚える範囲は実はそれほど広くない
高校の化学で扱う化学式の多くは、
元素記号と「価数」と呼ばれる数字の組み合わせから作ることができます。
すべての化学式を個別に暗記する必要はなく、頻出の元素記号と価数のパターンさえ押さえれば、
初めて見る組み合わせでも対応できる範囲が大きく広がります。
この記事で身につく3つのステップ
この記事では、元素記号の覚え方から、価数を使って化学式を組み立てる手順、
イオンの化学式の覚え方まで、入試問題で使える状態に定着させる方法を解説します。
【化学式を覚えるまでの3ステップ】
1.主要な元素記号を書けるようにする2.価数のルールで化学式を組み立てられるようにする3.イオンの化学式にも同じ考え方を応用する
元素記号を先に固める
化学式は元素記号の組み合わせなので、まずは主要な元素記号を、
迷わず書ける状態にしておく必要があります。
代表的な元素記号の語呂合わせ
元素記号の語呂合わせで最もよく知られているのは、
「水兵リーベ僕の船、七曲がりシップスクラークか」というものです。
H・He・Li・Be・B・C・N・O・F・Neまでを「水兵リーベ僕の船」、
Na・Mg・Al・Si・P・S・Cl・Ar・K・Caまでを続きの部分で覚える形になっており、
高校化学で頻出する元素記号の大部分をこの語呂合わせだけでカバーできます。
語呂合わせ以外の覚え方の選択肢
語呂合わせが合わないと感じる場合は、周期表の歌を繰り返し聴いて覚える方法や、
元素記号と名前だけを書いた単語カードを繰り返し見る方法も選択肢になります。
どの覚え方が合うかは人によって異なるため、一つの方法で定着しない場合は、
別の方法に切り替えて試してみることが大切です。
元素記号を覚える際に注意したいこと
元素記号は、大文字・小文字の区別を正確に覚える必要があります。
たとえばNa(ナトリウム)とN・aのように分けて書いてしまうと、
別の意味になってしまいます。
また、元素記号だけを単独で覚えるより、
周期表のどのあたりに位置しているかをセットで意識しておくと、
次に説明する価数のルールも理解しやすくなります。
価数のルールで化学式を「作る」考え方
元素記号を覚えたら、次は価数のルールを使って、
化学式を暗記ではなく組み立てる考え方を身につけます。
価数とは何か
価数とは、原子がイオンになるときや、他の原子と結びつくときに、
やり取りする電子の数に対応する数字のことです。
たとえばナトリウムは電子を1個放出して+1のイオンになりやすく、
塩素は電子を1個受け取って-1のイオンになりやすいという性質があります。
化学式にわざわざ数字の決まりがあるのは、原子同士が電気的に釣り合う組み合わせでしか、
安定した物質になれないためです。
主な原子の価数は、次の表のように整理しておくと使いやすくなります。
| 原子 | 価数 | 備考 |
|---|---|---|
| Na・K・H | 1価(陽) | +1の電気を帯びやすい |
| Ca・Mg | 2価(陽) | +2の電気を帯びやすい |
| Al | 3価(陽) | +3の電気を帯びやすい |
| Cl・F | 1価(陰) | -1の電気を帯びやすい |
| O・S | 2価(陰) | -2の電気を帯びやすい |
| N | 3価(陰) | -3の電気を帯びやすい |
価数のたすき掛けで化学式を組み立てる手順
価数が分かれば、次の3手順で化学式を組み立てることができます。
手順1は、組み合わせる原子それぞれの価数を確認することです。
手順2は、お互いの価数の数字を入れ替えて、
相手の原子の個数としてあてはめる「たすき掛け」を行うことです。
手順3は、できあがった個数の比を、約分できる場合はできるだけ簡単な比に整理することです。
たとえばナトリウム(1価)と塩素(1価)であれば1対1のままNaClになり、
カルシウム(2価)と塩素(1価)であれば、価数を入れ替えてCaCl2になります。
アルミニウム(3価)と酸素(2価)であれば、同じ考え方でAl2O3という形が導き出せます。
たすき掛けが使えない化学式の覚え方
水(H2O)や二酸化炭素(CO2)のように、共有結合でできる分子は、
単純なたすき掛けだけでは説明できない組み合わせになることがあります。
H2O・CO2・NH3・CH4のような身近な分子の化学式は、
価数のたすき掛けというより、
原子同士が安定して結びつくために必要な結合の本数から決まっています。
数は少ないため、頻出のものだけ個別に覚えておくと、たすき掛けと組み合わせて対応できます。
イオンの化学式の覚え方
高校化学では、単体の原子だけでなく、
複数の原子がまとまった「イオン」の化学式を組み立てる問題も頻出します。
代表的な陽イオン・陰イオンの化学式
まずは、入試で繰り返し登場する代表的なイオンの化学式を整理しておきます。
| 分類 | イオンの化学式 | 名称 |
|---|---|---|
| 陽イオン | Na+・K+ | ナトリウムイオン・カリウムイオン |
| 陽イオン | Ca2+・Al3+ | カルシウムイオン・アルミニウムイオン |
| 陽イオン | NH4+ | アンモニウムイオン |
| 陰イオン | Cl-・OH- | 塩化物イオン・水酸化物イオン |
| 陰イオン | NO3-・SO4 2- | 硝酸イオン・硫酸イオン |
| 陰イオン | CO3 2- | 炭酸イオン |
イオン式から化学式を組み立てる手順
イオンの化学式も、原子どうしの組み立てと同じたすき掛けの考え方で作ることができます。
たとえばナトリウムイオン(1価)と水酸化物イオン(1価)を組み合わせればNaOHになり、
カルシウムイオン(2価)と炭酸イオン(2価)を組み合わせればCaCO3になります。
アンモニウムイオン(1価)と硫酸イオン(2価)のように、片方が複数個必要な場合は、
そのイオンをカッコでくくって(NH4)2SO4のように表すのが決まりです。
アンモニウムイオンを2個使うのは、+1が2個分の+2と、
硫酸イオン1個分の-2が釣り合うようにするためです。
入試で狙われやすいイオンの化学式のパターン
NH4+やSO4 2-、NO3-のように、
複数の原子がまとまった多原子イオンを含む化学式は、
単体の原子どうしの組み合わせよりミスが起きやすいポイントです。
カッコの有無や、イオンの個数を示す数字の位置を、
演習のたびに確認しておくことが対策になります。
覚えた化学式を入試問題で使える状態にする
化学式を覚えても、入試問題の中ですぐに使えなければ、得点には結びつきません。
覚えた化学式を反応式やモル計算で使う練習
化学式を覚える目的の多くは、化学反応式を作ったり、モル計算の問題を解いたりするためです。
化学式を単独で書けるようにしたら、できるだけ早い段階で、
反応式や計算問題の中で実際に使ってみると、知識として定着しやすくなります。
定着度を確認する仕組みの重要性
一度覚えたつもりの化学式でも、時間が経つと抜け落ちてしまうことは珍しくありません。
そのため、覚えた直後だけでなく、
数日後や単元の区切りごとに確認テストのような形で振り返る仕組みを持っておくことが重要です。
自分で気づきにくい弱点をどう補うか
どの化学式でつまずいているか、価数の理解とイオン式のどちらに課題があるかは、
自分だけでは気づきにくい部分でもあります。
松山市の大学受験塾My Self_Learnでは、化学の授業に加えて、
単元ごとの確認テストや化学テストゼミを通して、
元素記号や価数の理解が定着しているかどうかを一つずつ確認しています。
覚えたはずの化学式が入試問題で使えないという悩みがある場合は、
どこでつまずいているかを整理するところから見直してみることも一つの方法です。
また、語呂合わせやチャンキングなど化学の暗記全体のコツを知りたい方は化学の暗記のコツと記憶術も、
あわせて参考にしてください。
化学式の暗記が特に負担になりやすい無機化学の分野については、
無機化学の覚え方がわからない受験生へで、暗記量を減らす手順を詳しく解説しています。
あわせて読みたい関連記事:イオン化傾向の覚え方|語呂合わせと一覧表で暗記を得点力に変えるコツ
化学式の覚え方|元素記号と価数のルールでムダなく暗記するコツ:まとめ
化学式は、一つずつ模様のように丸暗記するものではなく、元素記号と価数のルールを理解すれば、
自分で組み立てられるようになるものです。
【この記事の要点】
・元素記号は語呂合わせや歌など、自分に合う方法で先に固める
・価数のたすき掛けで化学式を組み立てる手順を身につける
・H2OやCO2など例外的な化学式は数が少ないので個別に覚える
・イオンの化学式も同じたすき掛けの考え方で組み立てられる
・覚えた化学式は反応式や計算問題で使い、確認テストで定着度を振り返る
元素記号、価数、イオンの化学式という順番で一つずつ押さえていけば、
初めて見る物質の化学式にも対応できる力がついていきます。
まずは今日、この記事の価数の表を見ながら、
NaClとCaCl2を自分の手で組み立て直してみることから始めてみましょう。




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