ワーキングメモリとは何か
「授業では理解できたのに、いざ問題を解くと同時に何個も条件を処理できない」
「先生の指示を覚えているうちに、次の指示を忘れてしまう」
こうした悩みの背景には、ワーキングメモリ(作業記憶)という能力が関係しています。
ワーキングメモリとは、今取り組んでいる作業に必要な情報を、
一時的に頭の中に保持しながら、同時にその情報を処理する能力のことです。
心理学者アラン・バドリーが1974年に提唱したモデルが基礎になっており、
現在も記憶研究の中心的な枠組みとして使われています。
- 先生の説明を聞きながらノートにまとめる
- 複数の資料を読み比べて内容を整理する
- 質問の意味を理解しながら、答えを頭の中で組み立てる
- 暗算で桁の繰り上がりを覚えたまま計算を進める
理解が早い人、作業が速い人と言われる背景には、
このワーキングメモリの働きが大きく関わっていると考えられています。
反対に、言われたことをすぐに忘れてしまう、机の片付けが苦手といった悩みも、
ワーキングメモリの負荷が関係している場合があります。
ワーキングメモリの4つの構成要素
バドリーのモデルでは、ワーキングメモリは4つの要素で説明されます。
1974年に提唱された3要素に、2000年に4つ目の要素が追加されました。
| 構成要素 | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| 音韻ループ | 言葉や数字など音声情報を一時的に保持する | 電話番号を覚えている間、口の中で繰り返す |
| 視空間スケッチパッド | image・図形・位置関係など視覚情報を保持する | 地図を見た後、道順を思い浮かべる |
| エピソードバッファ | 複数の情報や長期記憶と結びつけて一つにまとめる | 説明を聞きながら、既に知っている知識と関連づける |
| 中央実行系 | 他の3つを統括し、注意の配分や切り替えを行う | 複数の作業のうち、今優先すべきものを判断する |
中央実行系は、いわば司令塔のような役割を持っており、
不要な情報を抑えながら、必要な情報を更新する働きを担っています。
受験勉強では、複数科目の知識を並行して扱う場面が多いため、
この中央実行系への負荷が特に大きくなりやすいと言えます。
自分のワーキングメモリを簡単にチェックする方法
ワーキングメモリの容量には個人差がありますが、
簡単な数字の記憶課題で、おおよその感覚をつかむことができます。
私たちの脳は、数字や単語を7±2個のまとまりで覚えると記憶しやすいと言われています。
- 次の7つの数字を、声に出さず口の中で3回繰り返す:8・5・3・2・1・1・0
- 目を閉じて、7つの数字を頭の中に思い浮かべる
- 後ろから5番目の数字が何だったか、すぐに言えるか試す
すぐに答えられなくても、心配する必要はありません。
ワーキングメモリは後天的に鍛えることができる能力だからです。
特に暗記科目が多い受験勉強では、この能力を伸ばすことが得点力に直結します。
ワーキングメモリを鍛える3つの方法
ワーキングメモリは、日々の生活習慣やトレーニングによって鍛えることが可能です。
ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
睡眠を十分にとる
睡眠不足がワーキングメモリの働きに悪影響を与えることは、
複数の研究で報告されています。
寝不足の状態では、情報を一時的に保持しながら処理する力が低下しやすくなります。
受験直前になるほど夜遅くまで勉強したくなりますが、
一般的には7〜8時間程度の睡眠を確保したほうが、
翌日の学習効率はかえって高くなりやすいとされています。
暗算でトレーニングする
数字を記憶しながら計算する暗算は、ワーキングメモリを直接使う代表的な作業です。
例えば、100から7を引き、その答えからさらに7を引く、
という計算を繰り返してみてください。
慣れてきたら、引く数を8や13に増やすなど難易度を上げていくと、
トレーニングとしての効果が高まります。
デュアルタスクで負荷をかける
デュアルタスクとは、運動と知的作業など、2つの異なる作業を同時に行うことです。
体を動かすことで脳の運動関連部位が活性化し、
同時に知的作業によって前頭葉も働くため、
ワーキングメモリのトレーニングになると言われています。
例えば、歩きながら前日の夕食のメニューを順番に思い出す、
すれ違う車のナンバーを暗算で足し合わせる、といった方法があります。
| 方法 | やり方 | 取り組みやすさ |
|---|---|---|
| 睡眠 | 7〜8時間程度の睡眠時間を確保する | 今日から誰でも始めやすい |
| 暗算 | 3桁からの引き算を繰り返す | 移動時間などのすき間に可能 |
| デュアルタスク | 運動と記憶の呼び出しを同時に行う | 慣れるまではやや難しい |
受験勉強でワーキングメモリの知識をどう活かすか
ワーキングメモリの負荷が大きいと感じる場合は、
一度に覚える情報量を絞り込む、覚えた内容を書き出して整理する、
既に理解している知識と結びつけて覚える、といった工夫が有効です。
特に理論を積み重ねて理解する科目では、
「覚えたはずなのに問題を解く場面で使えない」という状態が起こりやすく、
これはワーキングメモリの一時的な保持と処理の負荷が原因になっていることがあります。
My Self_Learnでは、授業を受けて終わりにするのではなく、
確認テストや口頭試問を通じて、生徒が知識を実際に使える状態まで
定着しているかどうかを個別に確認しています。
覚えても本番で使えないという悩みがある方にとって、
こうした定着度の確認は、学習計画を見直す手がかりになります。
また、
理想のタイミングで復習する!!4回復習勉強法についても参考になりますので、
あわせてご覧ください。
ワーキングメモリを鍛える方法|受験の勉強効率を上げるコツ:まとめ
ワーキングメモリが多いほど受験生にとっては非常にアドバンテージになります。
勉強したことがなかなか覚えられないという受験生は、
今回紹介したワーキングメモリを鍛える方法でトレーニングしてみてください。




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