「電子配置の書き方がわからない」「K殻・L殻という言葉は知っているのに、
いざ元素記号を見て書けと言われると手が止まる」というのは、
高校化学を習い始めた生徒によくあるつまずきです。
この記事では、電子配置を書くための基本ルールと、原子番号から電子配置を求める手順を、
例題つきで整理します。特につまずきやすいカリウムやカルシウムの例外パターンや、
イオンになったときの変化も扱います。
結論から言うと、電子配置は「内側の電子殻から順に、決められた定員まで電子を入れる」
という手順さえ押さえれば、暗記に頼らなくても多くの元素で機械的に書けるようになります。
結論:電子配置は3つのルールで書ける
電子配置の書き方には、次の3つのルールがあります。1つ目は、
電子は内側の電子殻から順に入っていくこと。2つ目は、
電子殻ごとに収容できる電子の定員が決まっていること。3つ目は、
電子の数が定員ぴったりか8個になると安定することです。
このルールに沿って原子番号を確認しながら電子を配置していけば、
多くの元素の電子配置を自分の手で導き出せるようになります。次の見出しから、
それぞれのルールと具体的な手順を順番に見ていきます。
なぜ電子配置を間違えやすいのか
電子配置でつまずく生徒の多くは、電子殻の定員を「とりあえず全部埋める」
という発想で覚えてしまっています。M殻の定員は最大18個ですが、
実際にはM殻に8個入った時点で、次のN殻に電子が入り始める元素があります。
また、電子配置と電子式を混同してしまうケースも目立ちます。
電子配置はすべての電子殻の電子数を表すものですが、
電子式は最も外側の電子だけを点で表した図であり、目的が異なります。
たとえば炭素の電子式は最外殻の4個だけを点で描きますが、
電子配置はK殻2個・L殻4個というように、
すべての電子殻の電子数を書く点が違います。
原子番号と電子の総数を混同することも、間違いにつながりやすいポイントです。
原子は原子番号と同じ数の電子を持つという前提を、先に確認しておく必要があります。
電子配置を書くときの基本ルール
電子配置を正しく書くには、まず電子殻の種類と定員、
電子が入る順番を理解しておく必要があります。ここでは2つの基本ルールを、
表と具体例で整理します。
電子殻の種類と最大収容数
電子殻は、原子核に近い順にK殻・L殻・M殻・N殻と呼ばれます。
内側からn番目の電子殻に入る電子の最大数は、2n²個という式で決まっています。
| 電子殻 | 内側からの順番(n) | 最大収容数(2n²) |
|---|---|---|
| K殻 | 1 | 2個 |
| L殻 | 2 | 8個 |
| M殻 | 3 | 18個 |
| N殻 | 4 | 32個 |
ただし高校化学で扱う原子番号20番(カルシウム)までの範囲では、
M殻が定員の18個まで埋まりきる前に、N殻へ電子が入り始める元素があります。
この例外は、後ほど具体例で説明します。
電子は内側の電子殻から順番に埋まる
電子は、原子核に近く安定しやすいK殻から順番に配置されます。
K殻が定員の2個で埋まったら次はL殻、L殻が8個で埋まったら次はM殻、
という要領で外側へ進んでいきます。
補足:なぜ8個(オクテット)で安定するのか
最外殻の電子が8個(K殻だけは2個)になると、
原子は化学的に安定した状態になります。
これをオクテット則と呼びます。
ネオンやアルゴンのような貴ガスの電子配置がこの状態にあたり、
ほかの原子と反応しにくい理由になっています。
電子配置の求め方を3ステップで確認する
基本ルールを踏まえたうえで、実際に電子配置を書く手順を3つのステップに分けて確認します。
手順どおりに進めれば、初めての元素でも同じ考え方で書けるようになります。
ステップ1:原子番号から電子の総数を確認する
原子は、原子番号と同じ数の陽子と電子を持ちます。まずは元素の原子番号を確認し、
その数だけ電子を用意するところから始めます。
ステップ2:内側の電子殻から定員まで電子を入れる
K殻から順に、定員(2個、8個、8個)まで電子を入れていきます。
電子が余ったら次の電子殻に移し、同じ作業を繰り返します。
ステップ3:代表的な元素で確認する
実際にいくつかの元素で確認すると、書き方の感覚をつかみやすくなります。
原子番号1番から20番までの元素を一覧にすると、次のようになります。
| 原子番号 | 元素 | K殻 | L殻 | M殻 | N殻 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | H(水素) | 1 | – | – | – |
| 2 | He(ヘリウム) | 2 | – | – | – |
| 3 | Li(リチウム) | 2 | 1 | – | – |
| 4 | Be(ベリリウム) | 2 | 2 | – | – |
| 5 | B(ホウ素) | 2 | 3 | – | – |
| 6 | C(炭素) | 2 | 4 | – | – |
| 7 | N(窒素) | 2 | 5 | – | – |
| 8 | O(酸素) | 2 | 6 | – | – |
| 9 | F(フッ素) | 2 | 7 | – | – |
| 10 | Ne(ネオン) | 2 | 8 | – | – |
| 11 | Na(ナトリウム) | 2 | 8 | 1 | – |
| 12 | Mg(マグネシウム) | 2 | 8 | 2 | – |
| 13 | Al(アルミニウム) | 2 | 8 | 3 | – |
| 14 | Si(ケイ素) | 2 | 8 | 4 | – |
| 15 | P(リン) | 2 | 8 | 5 | – |
| 16 | S(硫黄) | 2 | 8 | 6 | – |
| 17 | Cl(塩素) | 2 | 8 | 7 | – |
| 18 | Ar(アルゴン) | 2 | 8 | 8 | – |
| 19 | K(カリウム) | 2 | 8 | 8 | 1 |
| 20 | Ca(カルシウム) | 2 | 8 | 8 | 2 |
炭素は原子番号6番なので電子は6個です。K殻に2個入れた残り4個をL殻に入れれば完成です。
ナトリウムは原子番号11番なので、K殻に2個、L殻に8個入れた残り1個をM殻に入れます。
19番のカリウムと20番のカルシウムだけは、
M殻が8個で止まりN殻に電子が入っている点に注目してください。
この例外は、次の見出しで詳しく説明します。
ここで、マグネシウム(原子番号12)の電子配置を
自分で書けるか、試してみてください。
マグネシウムの電子数は12個なので、K殻に2個、L殻に8個入れると、
残り2個をM殻に入れます。答えはK殻2個・L殻8個・M殻2個です。
電子配置でつまずきやすい応用パターンを整理する
基本の手順に加えて、入試問題でよく問われる3つの応用パターンを確認しておくと、
電子配置の理解がより実戦的になります。
K・Caの電子配置に見られる例外
カリウム(原子番号19番)とカルシウム(原子番号20番)は、
電子配置のルールでつまずきやすい代表的な元素です。M殻の定員は18個ですが、
この2つの元素ではM殻が8個で止まり、19個目・20個目の電子はN殻に入ります。
つまりカリウムの電子配置はK殻2個・L殻8個・M殻8個・N殻1個、
カルシウムはK殻2個・L殻8個・M殻8個・N殻2個です。「M殻は18個まで入るはず」
という思い込みのまま書くと、この2つの元素で間違えてしまいます。
イオンになったときの電子配置の変化
原子が電子を失ったり受け取ったりしてイオンになると、電子配置も変化します。
例えばナトリウム原子(電子11個)が電子を1個失ってNa⁺になると、
電子は10個になり、電子配置はネオンと同じK殻2個・L殻8個になります。
同じように塩素原子(電子17個)が電子を1個受け取ってCl⁻になると、
電子は18個になり、電子配置はアルゴンと同じK殻2個・L殻8個・M殻8個になります。
このように、異なる元素のイオンでも電子配置が一致することがあり、
これを電子配置が同じイオンと呼びます。
価電子の数を電子配置から求める方法
価電子とは、最も外側の電子殻(最外殻)に入っている電子の数のことです。
電子配置さえ書ければ、最外殻の電子数を数えるだけで価電子の数がわかります。
ただし貴ガスの最外殻電子は安定しているため、化学的な反応にはほとんど関わりません。
このため貴ガスの価電子の数は、慣習として0として扱われる点に注意が必要です。
電子配置の考え方は、元素記号を組み合わせて表す
化学式を理解するときの土台にもなります。
化学式の組み立て方にまだ不安がある場合は、
あわせて確認しておくと理解がつながりやすくなります。
電子配置と一緒に出てくる化学用語を
一通り整理したい方は、
参考にしてください。
電子配置のルールを覚えても、入試問題で価電子の数やイオンの安定性を問われると、
答えに詰まってしまう生徒は少なくありません。知識を覚えることと、
問題の中で使いこなせることの間には差があります。
松山市の大学受験塾My Self_Learnでは、化学の授業に加えて、
単元ごとの定着度を確認するテストゼミを取り入れています。電子配置のような基礎知識を、
入試問題で実際に使える形まで確認したい方にとって、検討しやすい選択肢です。
電子配置の書き方|高校化学の基本ルールと求め方を3ステップで解説:まとめ
この記事の要点
・電子は内側の電子殻(K殻)から順に、定員まで配置する
・電子殻の定員は2n²個だが、K・Caなどの例外もある
・最外殻電子が8個(K殻は2個)になると安定する
・イオンになると電子配置は変化し、異なる元素間で一致することもある
電子配置は、ルールと手順さえ理解すれば、暗記に頼らなくても多くの元素で導き出せます。
まずは原子番号1番から20番までの元素で、実際に手を動かして書く練習から始めてみてください。
よくある質問
電子配置を勉強する中で、生徒からよく寄せられる質問を3つ取り上げます。
Q. 電子配置は暗記した方がいいですか?
原子番号1番から20番程度までの主な元素は、
書き方のルールを理解していれば、その都度導き出せます。
ただし試験のスピードを上げるためには、
代表的な元素の電子配置を覚えておくと有利です。
Q. なぜカリウムやカルシウムだけM殻が8個で止まるのですか?
高校化学の範囲では、電子はより安定する状態から
順に配置される、というルールを押さえておけば十分です。
M殻が定員の18個まで埋まりきる前に、
より安定するN殻へ電子が入り始めると理解しておきましょう。
Q. 電子配置と価電子の違いは何ですか?
電子配置は、原子が持つすべての電子の入り方を表したものです。
価電子は、そのうち最も外側の電子殻(最外殻)に入っている電子の数を指します。




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