「同じ参考書を使っているのに、覚えるスピードが周りと違う気がする」「うちの子に合った勉強法が分からない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、人には情報の覚え方・理解の仕方に個人差があり、
これを「認知特性」と呼びます。
自分の認知特性の傾向を知り、覚え方を少し工夫するだけで、暗記の効率が上がりやすくなります。
この記事では、認知特性の3タイプ6分類、セルフチェックの視点、タイプ別の暗記のコツと、
合わせ方の限界までを、具体例を交えて解説します。
この記事の結論
①認知特性は視覚優位・言語優位・聴覚優位の3タイプ、さらに6分類に分かれます。
②本田式認知特性テストなどのセルフチェックで、自分の傾向のおおよその目安がつかめます。
③タイプに合わせて暗記の手段(図・音・言葉)を変えると、覚えやすくなる可能性があります。
④ただし「教え方を学習スタイルに合わせれば必ず成績が上がる」という強い科学的根拠はまだありません。
⑤1つのタイプに決めつけず、複数の覚え方を試しながら自分に合う方法を探すことが大切です。
結論:認知特性に合った勉強法を選ぶと暗記の効率が上がりやすい
認知特性とは、見る・聞く・読むといった情報の入力方法や、
そのあとの理解・記憶・表現の過程にみられる、個人ごとの得意・不得意のパターンのことです。
小児科医の本田真美氏が提唱した「本田式」では、視覚優位・言語優位・聴覚優位の3タイプを、
さらに2つずつに分けた6分類で整理しています。
次の章では、この3タイプ6分類の特徴を、一覧で比較しながら見ていきます。
認知特性とは?3タイプ6分類を一覧で比較
認知特性は、大きく視覚優位・言語優位・聴覚優位の3タイプに分かれ、
それぞれがさらに2分類されます。
まずは全体像を表で確認しましょう。
| 大分類 | タイプ名 | 情報処理の傾向 |
|---|---|---|
| 視覚優位 | カメラタイプ | 写真や図など、二次元の画像として記憶する |
| 視覚優位 | 3Dタイプ | 空間や時間の流れを使い、三次元的にイメージする |
| 言語優位 | ファンタジータイプ | 文字や文章を映像化しながら記憶する |
| 言語優位 | 辞書タイプ | 文字や文章を図式・パターンとして整理する |
| 聴覚優位 | ラジオタイプ | 文字や文章を音として処理し、語感やリズムで覚える |
| 聴覚優位 | サウンドタイプ | 音楽やイントネーションと結び付けて記憶する |
視覚優位は「見る」情報を得意とし、言語優位は「読む・書く」情報を得意とし、
聴覚優位は「聞く」情報を得意とする、というのが大まかな傾向です。
とはいえ、多くの人は1つのタイプにきっぱり分かれるわけではなく、
複数のタイプが混ざっているのが実際のところです。
次の章では、自分の傾向を知る方法を見ていきます。
自分の認知特性を知る方法|セルフチェックのポイント
自分がどのタイプに近いかを知るには、無料のセルフチェックテストを使う方法と、
日常の行動を振り返る方法があります。
無料のセルフチェックテストを使う
本田式認知特性研究所が公開している「本田40式」などのセルフチェックテストでは、
複数の質問に答えると、6分類のバランスをスコアで確認できます。
あくまで傾向をつかむための目安であり、医学的な診断ではない点に注意してください。
日常の行動から傾向を振り返る
テストを使わなくても、普段の行動を振り返ることで傾向はつかめます。
次の3つの問いへの答え方から、自分の傾向をおおまかにセルフチェックしてみましょう。
①道順を覚えるとき、地図や景色のイメージで覚えることが多いですか。
②人から聞いた話を、文章として思い出しやすいですか。
③電話番号や語呂を、口に出して繰り返すと覚えやすいですか。
①に近いほど視覚優位、②に近いほど言語優位、
③に近いほど聴覚優位の傾向があると考えられます。
タイプ別の勉強法と暗記のコツ
ここでは、同じ暗記内容を例に、タイプ別にどう工夫できるかを具体的に見ていきます。
視覚優位タイプの勉強法
視覚優位の方は、文字だけの説明より、図・表・色分けのほうが記憶に残りやすい傾向があります。
例えば、元素記号の「Fe(鉄)」を覚えるときは、鉄棒や鉄骨のイラストと一緒にノートへ書き、
「Fe=鉄骨の鉄」と視覚的に結び付けて覚える方法が向いています。
ノートは余白を広めに取り、重要語を枠で囲むなど、
情報を画像として捉えやすい形に整理しましょう。
言語優位タイプの勉強法
言語優位の方は、文章で説明を読んだり、
自分の言葉でまとめたりすると記憶に残りやすい傾向があります。
先ほどの「Fe(鉄)」であれば、「Feはironの略で、鉄を表す元素記号」というように、
由来や意味を文章として覚える方法が向いています。
ノートにまとめ直す作業や、一問一答形式の問題集も活用しやすいタイプです。
聴覚優位タイプの勉強法
聴覚優位の方は、音やリズムと結び付けると記憶に残りやすい傾向があります。
「Fe(鉄)」であれば、語呂合わせを声に出して読む、
もしくは録音して繰り返し聞く方法が向いています。
暗記したい内容を自分の声で録音し、通学時間などの隙間時間に聞き返す勉強法も、
聴覚優位の方には取り入れやすい方法です。
認知特性に合わせる勉強法の効果と注意点
タイプ別の工夫を紹介してきましたが、効果の捉え方には注意が必要です。
覚え方の「好み」があることと、その方法で必ず成績が上がることとは、
分けて考える必要があります。
「学習スタイル」研究では効果が限定的とされている
海外の研究者Pashlerらが2008年に行ったレビュー論文では、
学習スタイルに合わせて教え方を変えることで成績が上がるという、
明確な実証的根拠は確認されなかったと報告されています。
つまり「自分は視覚優位だから、視覚的な勉強法だけをすればよい」と決めつけるのは、
現時点では慎重に考えたほうがよいとされています。
ただし、自分の好みに合う方法は取り組みやすく、
無理なく続けやすいという実用的な利点は残ります。
1つの覚え方に絞らず、複数を組み合わせる
My Self_Learnの指導現場でも、
生徒によって「図で見せると理解が早いが、声に出すと定着しにくい」というように、
タイプと実際の得意・不得意が一致しない場面が見られます。
そのため、まずは自分の傾向を知った上で、視覚・言語・聴覚の方法を複数試し、
結果として覚えやすかった方法を残していく進め方が現実的です。
こうした工夫を1人で試しながら進めるのが難しい場合は、個別指導を活用する方法もあります。
My Self_Learnでは、生徒一人ひとりの得意な覚え方を一緒に探りながら、
暗記の方法を調整するサポートを行っています。
また、視覚・聴覚・体感を組み合わせて五感をフル活用して効率よく暗記ができる方法も、
認知特性に関わらず試しやすい方法です。
暗記の土台になるワーキングメモリを鍛える方法も、あわせて確認しておくと、
勉強法の工夫をより活かしやすくなります。
認知特性を活かした勉強法についてよくある質問
ここでは、認知特性と勉強法についてよく寄せられる質問に答えます。
認知特性は後から変えられますか?
認知特性そのものは、持って生まれた傾向に近いものとされており、
短期間で大きく変わるものではないとされています。
ただし、どの覚え方が合うかは経験によって見えてくる部分も大きいため、
色々な方法を試す姿勢のほうが重要です。
複数のタイプが混ざっている場合はどうすればいいですか?
多くの方は、1つのタイプにきっぱり当てはまるわけではありません。
科目や内容によって、視覚的な工夫と聴覚的な工夫を使い分けるなど、
組み合わせて使うことをおすすめします。
認知特性に合った勉強法とは?タイプ別の見分け方と暗記のコツを解説:まとめ
まとめ
①認知特性は視覚優位・言語優位・聴覚優位の3タイプ、6分類に整理されます。
②セルフチェックや日常の行動の振り返りで、自分の傾向のおおよその目安がつかめます。
③同じ暗記内容でも、図・文章・音のどれで覚えるかを工夫すると定着しやすくなります。
④学習スタイルに教え方を完全に合わせることの効果には、
まだ確立した科学的根拠がない点に注意が必要です。
⑤1つの方法に決めつけず、
複数の覚え方を試しながら自分に合う組み合わせを見つけていきましょう。
認知特性は、自分の勉強法を見直すきっかけの1つとして役立ちます。
完璧に当てはめようとせず、気軽に試しながら、
自分に合った暗記の方法を見つけていってください。




コメント