参考書の比較サイトや塾の体験授業を、いくつも見比べているうちに、
結局どれがいいのか分からなくなった経験はありませんか。
調べれば調べるほど選べなくなるのは、意志が弱いからではありません。
結論から言うと、これは心理学で「選択のパラドックス」と呼ばれる、
選択肢が多いほど人は決断しにくくなるという現象が働いているためです。
この記事では、愛媛県松山市の大学受験塾My Self_Learnが、
選択のパラドックスの仕組みと、参考書・塾選びで消耗しないための、
具体的な「決め方の型」を解説します。
「選択のパラドックス」とは何か
まず、選択肢が多いほど決断しにくくなるという心理現象について、
基本的な考え方を整理しておきましょう。
選択肢が多いほど満足できなくなるという考え方
アメリカの心理学者バリー・シュワルツ氏は、選択肢が増えることは一見良いことのように思えるが、
実際には人を迷わせ、決断そのものを難しくすると指摘し、これを「選択のパラドックス」と呼びました。
この考え方を裏付ける研究として知られているのが、
コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が行った、いわゆる「ジャム実験」です。
スーパーの試食コーナーで並べるジャムの種類を変え、購入率を比較したところ、
種類を絞ったコーナーの方が、実際に購入した人の割合が高かったという結果が報告されています。
選択肢の多さが必ずしも良い結果につながらないことを示す例として、よく紹介されています。
「最高の一つ」を探すほど決められなくなる
シュワルツ氏は、あらゆる選択肢を比較して「最高の一つ」を追い求めるタイプの人ほど、
決断に時間がかかり、決めたあとも満足しにくい傾向があると説明しています。
一方で、自分なりの基準を決めておき、
その基準を満たした時点で「これでいい」と決められるタイプの人は、
比較にかかる時間も後悔も少なくなりやすいとされています。
参考書や塾を選ぶときに疲れてしまう背景には、
この「最高の一つ」を探そうとする姿勢が隠れていることが少なくありません。
参考書・塾選びで「選べない」状態が起きやすい理由
ここからは、選択のパラドックスが受験生・保護者の身近な場面で、
具体的にどう表れるのかを見ていきます。
参考書比較サイトを延々と見比べてしまう
「この参考書とこの参考書、どちらがいいか」を調べようとすると、
比較サイトやレビュー動画が次々と見つかり、
比較検討そのものに時間がかかってしまうことがあります。
情報を集めるほど、それぞれの参考書の長所と短所が見え、
かえって「決め手」が分からなくなってしまうのです。
気づけば数時間、比較サイトを見て回っただけで、
その日の勉強時間が終わっていた、という状態も珍しくありません。
塾の体験授業を何件もはしごしてしまう
塾選びでも同じことが起こります。1件目の体験授業を受けて悪くないと感じても、
「もっと良い塾があるかもしれない」と、
2件目、3件目と体験授業をはしごしてしまうケースがあります。
比較すること自体は悪いことではありませんが、比較の基準を決めないまま件数だけを増やすと、
どの塾も一長一短に見えてしまい、結局決められないまま時間だけが過ぎてしまいます。
決断力を上げる「決め方の型」
選択のパラドックスを踏まえると、大切なのは情報を減らすことではなく、
比較の仕方に「型」を持つことです。
ここでは、参考書・塾選びにそのまま使える3つの決め方を紹介します。
比較を始める前に基準を1つだけ決める
参考書や塾を調べ始める前に、「自分にとって一番譲れない条件」を1つだけ決めておきます。
例えば参考書なら「今の自分のレベルに合っているか」、
塾なら「化学など苦手科目を個別に見てもらえるか」といった具合です。
条件を複数同時に満たそうとすると、結局すべての候補が中途半端に良く見えてしまいます。
先に1つだけ基準を決めておくことで、比較の途中で軸がぶれにくくなります。
「基準といっても何を選べばいいか分からない」という場合は、
次のような項目から、今の自分に一番関係あるものを1つ選ぶところから始めてみてください。
基準の例・参考書:今の自分のレベルに合っているか/解説の詳しさ/1冊あたりの問題量・塾:苦手科目を個別に見てもらえるか(化学に限らず)/通いやすさ/料金体系がはっきりしているか
比較する期限を先に区切る
「参考書は今週中に1冊決める」「体験授業は2件までにする」のように、
比較にかける時間や件数を、調べ始める前に区切っておきます。
期限がないまま比較を続けると、新しい情報が出るたびに迷いが増え、
決断がどんどん先延ばしになってしまいます。
期限を決めておけば、その時点で分かっている情報の中から選ぶという、
現実的な決断がしやすくなります。
「80点で十分」という発想に切り替える
すべての条件を満たす「100点の参考書」や「100点の塾」を探そうとすると、
比較は永遠に終わりません。
先に決めた基準を満たしていれば、多少気になる点が残っていても、
「80点で十分」と考え、その時点で決めてしまうという発想に切り替えます。
合わないと感じた場合は、あとから参考書を変える、塾を変えるという選択肢も残っています。
最初の一つを完璧に選ぶ必要はないと考えるだけで、決断のハードルはかなり下がります。
ただし、志望校そのものの選択のように、後からやり直しにくい大きな判断まで、
何でも「80点で十分」で済ませてよいわけではありません。
参考書や塾のように、あとから変更しやすい判断から、この考え方を試してみることをおすすめします。
決断力を上げる決め方の型・比較を始める前に、譲れない基準を1つだけ決める・参考書は期限、塾は件数など、比較にかける範囲を先に区切る・基準を満たしていれば「80点で十分」と考えて決める
一人で決めきれないときの相談先
基準を決めても、化学のように専門性が高い科目や塾選びのように情報量が多い場面では、
一人で「譲れない基準」自体を決めにくいこともあります。
その場合は、学校の先生や、志望校に近い先輩など、
身近で相談できる相手にまず聞いてみるのも一つの方法です。
それでも化学のように専門的な内容で基準が定まらない場合、
My Self_Learnでは、化学を中心とした受験対策に加えて、
確認テストで現在の理解度や弱点を整理したうえで、
学習計画に落とし込む個別対応を行っています。
「何を基準に参考書や勉強法を選べばいいか分からない」という場合、自己判断で比較を続ける前に、
現在の弱点や課題を一緒に整理してもらうことも、比較にかける時間を減らす一つの方法です。
豆知識・「選択のパラドックス」はバリー・シュワルツ氏が2004年に著書で提唱した考え方です・研究内容や数値は調査によって幅があるため、本記事では傾向として紹介しています
また、化学の参考書をレベル別にどう選ぶか知りたい方は、
大学受験化学の参考書選びの記事も、あわせてご覧ください。
塾選びの基準をもう少し具体的に知りたい方は、
参考書・塾選び以外の場面で「決められない」状態から抜け出す手がかりになります。
参考書も塾も決められない人へ|選択のパラドックスと後悔しない決め方:まとめ
参考書や塾を比較しても決められないのは、意志の弱さではなく、
選択肢が多いほど人が決断しにくくなる「選択のパラドックス」が働いているためです。
比較を始める前に基準を1つだけ決め、比較にかける期限や件数を区切り、
「80点で十分」と考えて決めてしまう。
この3つを意識するだけで、選ぶこと自体に消耗せず、次の一歩に進みやすくなります。
それでも基準そのものが定まらないときは、一人で抱え込まず、
現在の学習状況を整理できる相談先を頼ることも検討してみてください。




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