「化学のグラフ問題を見ると、何を聞かれているのか分からなくなる」
「計算はできるのに、グラフになると急に手が止まる」という高校生は少なくありません。
結論から言うと、化学のグラフ問題の多くは、軸・単位・傾き・特徴的な点という、
4つのポイントを順番に確認するだけで、
反応速度・化学平衡・熱化学のどの分野でも同じ手順で読み解けます。
この記事では、化学のグラフを読む共通の手順と、分野ごとの読み方のコツを解説します。
この記事の結論
①化学のグラフ問題は、軸→単位→傾き→特徴的な点、の順で確認すると読み解きやすい。
②反応速度・化学平衡・熱化学は見た目が違うグラフでも、読み方の基本手順は共通。
③新しい教科書では熱化学方程式ではなくエンタルピー(ΔH)表記が使われる。
化学のグラフ問題が苦手になる理由
まずは、化学のグラフ問題でつまずきやすい原因を整理しましょう。
公式は覚えているのにグラフになると分からなくなる
反応速度の計算式や化学平衡の条件式は覚えているのに、同じ内容がグラフで出題されると、
解けなくなる高校生は珍しくありません。
式は「数字を当てはめれば答えが出る」のに対し、グラフは「どこを読み取るかを自分で判断する」
必要があるため、覚えた知識をそのまま使えないと感じやすいのです。
分野ごとにグラフの形が違って見えて、別物だと思ってしまう
反応速度のグラフ、化学平衡のグラフ、熱化学のエネルギー図は、
見た目がまったく違うため、それぞれ別の読み方を覚えようとしてしまいがちです。
しかし実際には、どのグラフも「軸が何を表すか」「傾きが何を意味するか」
「特徴的な点で何が起きているか」を確認するという、共通の手順で読み解くことができます。
化学のグラフを読む4つの手順(共通の型)
ここからは、化学のグラフを読み解くための共通の手順を4つのステップで説明します。
この手順を身につけると、初めて見るグラフでも同じやり方で対応できるようになります。
①軸(縦軸・横軸)が何を表しているかを確認する
縦軸と横軸がそれぞれ何を表しているかを、必ず最初に確認しましょう。
反応速度のグラフなら「濃度と時間」、化学平衡のグラフなら「濃度や物質量と時間」、
熱化学のエネルギー図なら「エネルギーの高さと反応の進み具合」
というように、軸の意味を取り違えると、その後の計算がすべて誤ります。
②単位を確認する(mol/L、mol、s、kJなど)
軸の単位が「mol/L」なのか「mol」なのか、時間が「秒」
なのか「分」なのかによって、計算結果は大きく変わります。とくに反応速度の計算では、
単位を読み間違えたまま計算を進めてしまうミスが起こりやすいため、
グラフの軸ラベルにある単位を、式に当てはめる前に必ず確認する習慣をつけましょう。
③グラフの傾き(変化の割合)が何を意味するか考える
グラフの傾きは、多くの場合「変化の速さ」を表しています。反応速度のグラフでは、
傾きが急なほど反応が速く進んでいることを示し、
傾きがゆるやかになるほど反応が遅くなっていることを示します。
傾きがゼロ、つまりグラフが水平になった部分は、それ以上変化が起きていない状態を意味します。
④変曲点・平坦になる点など、特徴的な点に注目する
グラフが折れ曲がる点、水平になる点、山や谷になっている点には、
必ず化学的な意味があります。化学平衡のグラフであれば水平になった点が平衡状態、
熱化学のエネルギー図であれば山の頂点が活性化状態というように、
特徴的な点が何を表しているかを見つけることが、グラフ問題を解く最後の鍵になります。
| 手順 | 確認すること |
|---|---|
| ①軸 | 縦軸・横軸が何を表しているか |
| ②単位 | mol/L・mol・s・kJなど、どの単位か |
| ③傾き | 変化の速さ・向きを表しているか |
| ④特徴的な点 | 折れ曲がる点・水平になる点・山や谷が何を意味するか |
反応速度のグラフの読み方
ここからは、4つの手順を実際の分野に当てはめて説明します。
まずは反応速度のグラフからです。
濃度―時間グラフから反応速度を求める
反応速度のグラフは、多くの場合、縦軸に物質の濃度、横軸に時間が取られています。
反応が進むにつれて反応物の濃度は減少し、生成物の濃度は増加するため、
グラフの傾きの大きさが、その時点での反応速度を表します。濃度の変化量を、
対応する時間の変化量で割ると、その区間の平均の反応速度を求めることができます。
たとえば、反応開始時に1.0mol/Lだった反応物の濃度が、
10秒後に0.6mol/Lまで減少したグラフであれば、
濃度の変化量0.4mol/Lを時間10秒で割ると、
平均の反応速度は0.04mol/(L・s)と読み取れます。
触媒・温度を変えたグラフの比較の読み方
触媒を加えた場合や温度を上げた場合のグラフでは、反応の最終的な到達点は変わらないまま、
そこに至るまでの傾きが急になります。複数のグラフが並んで出題された場合は、
まず縦軸・横軸が共通かどうかを確認したうえで、どのグラフの傾きが急か、
どのグラフが早く一定の値に落ち着くかを比較すると、条件の違いを読み取りやすくなります。
化学平衡のグラフの読み方
続いて、化学平衡のグラフの読み方を確認します。
正反応・逆反応の速度が一致する点(平衡状態)の見つけ方
化学平衡のグラフでは、正反応の速度が徐々に下がり、逆反応の速度が徐々に上がっていき、
やがて2つの速度が等しくなった時点で、見かけ上の変化が止まったように見えるグラフになります。
この、グラフが水平になった部分が化学平衡の状態であり、反応が止まっているのではなく、
正反応と逆反応が同じ速さで進み続けている状態である点に注意しましょう。
温度・圧力を変えたときのグラフの変化
温度や圧力を変化させたときのグラフでは、平衡状態に達するまでの時間や、
平衡時の濃度の値が変わります。どちらの方向に平衡が移動したかは、
グラフが水平に落ち着く高さが、条件を変える前と比べて
上がったか下がったかを比較することで読み取れます。
補足
化学平衡の移動の向きそのものを詳しく確認したい場合は、平衡がどちらへ動くかの条件も
あわせて教科書・問題集で確認しておくと、グラフの読み取りと計算の両方を関連づけやすくなります。
熱化学(エネルギー図)の読み方
最後に、熱化学のエネルギー図の読み方を確認します。新しい教科書では、
熱化学方程式にかわってエンタルピー(ΔH)という表記が使われている点にも注意が必要です。
発熱反応・吸熱反応のエネルギー図の見分け方
エネルギー図では、縦軸にエネルギーの高さ、横軸に反応の進み具合が取られ、
反応物と生成物のエネルギーの差が、反応で出入りする熱の量を表します。
発熱反応では、生成物のエネルギーが反応物より低くなり、
このときエンタルピー変化ΔHは負の値になります。
反対に吸熱反応では、生成物のエネルギーが反応物より高くなり、
ΔHは正の値になります。
活性化エネルギーの位置の読み取り方
反応物から生成物に至るグラフの山の部分は、活性化状態と呼ばれる不安定な状態を表しています。
反応物のエネルギーから山の頂点までの高さが活性化エネルギーであり、
この山を越えるためのエネルギーが不足していると、反応そのものが進みにくくなります。
触媒を使うと、この山の高さ、つまり活性化エネルギーを低くすることができます。
グラフ問題で得点しやすい人の特徴
・計算前に必ず軸と単位を声に出して確認する
・傾き・水平部分・山や谷に印をつけながら読む
・エンタルピーの符号(発熱で負、吸熱で正)を毎回確認する
グラフ問題で失点しやすい人の特徴
・軸や単位を確認せず、数字だけを式に当てはめる
・グラフの形だけを分野ごとに丸暗記しようとする
・旧課程の熱化学方程式の符号のまま計算してしまう
グラフ問題を練習に取り入れるときの注意点
ここまでの4つの手順は、暗記ではなく練習によって身につくものです。
My Self_Learnの化学の授業では、グラフの軸や単位を確認する練習を、
公式の暗記と切り離して行っています。とくに定期テストや模試の後、
グラフ問題だけを間違えている生徒には、
公式ではなく読み取りの手順そのものを一緒に確認するようにしています。
グラフを見ただけで手が止まってしまうと感じている方にとって、
公式とは別に読み方の手順を練習できる環境は、検討しやすい選択肢です。
Q&A
Q. 旧課程で「熱化学方程式」を習った場合、新課程のエンタルピー表記も覚え直す必要がありますか?
A. 現在の共通テスト・大学入試はエンタルピー(ΔH)表記が基準になるため、受験生は新しい表記で理解しておく必要があります。符号の意味が熱化学方程式とは異なる(発熱反応でΔHは負)点にとくに注意してください。
Q. グラフ問題は暗記でどうにかなりませんか?
A. グラフの形を丸暗記しても、初めて見る条件のグラフには対応できません。軸・単位・傾き・特徴的な点を確認する手順を練習しておくと、初見の問題にも対応しやすくなります。
モル計算や化学平衡の計算そのものに苦手意識がある方は、
理論化学の勉強法も参考になります。
共通テストでのグラフ問題の出方を知りたい方は、
共通テスト化学の対策法もあわせてご覧ください。
化学のグラフ問題の読み方|反応速度・化学平衡・熱化学を読み解くコツ:まとめ
化学のグラフ問題は、軸・単位・傾き・特徴的な点という4つの手順で確認すると、
反応速度・化学平衡・熱化学のどの分野でも同じように読み解けます。
反応速度では傾きが速さを、化学平衡では水平になる点が平衡状態を、
熱化学のエネルギー図では山の高さが活性化エネルギーを表します。
新しい教科書ではエンタルピー(ΔH)表記が使われ、発熱反応で負、
吸熱反応で正になる点にも注意してください。公式を覚えるだけでなく、
グラフを読む手順そのものを練習に取り入れてみましょう。




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