インターリービング学習法とは何か
「単元ごとにまとめて勉強しているのに、テストになると思い出せない」。そんな悩みを抱える受験生は少なくありません。結論から言うと、インターリービング学習法とは、複数の単元や科目をあえて交互に学習する方法です。数学なら「微分」だけを連続して解くのではなく、「微分」「積分」「確率」の問題を順番に混ぜて解く、というイメージです。
この記事では、研究データに基づく効果の仕組み、教科別の具体的なやり方、取り入れる際の注意点までを、松山市の大学受験塾My Self_Learnの視点で解説します。
ブロック学習との違い
多くの受験生がこれまで行ってきた勉強法は、1つの単元を連続して練習する「ブロック学習」です。ブロック学習は同じパターンの問題が続くため、解き方のパターンを覚えるだけで解けてしまい、練習中の手応えは良く感じられます。一方インターリービング学習法は、毎回「どの解き方を使うべきか」を判断し直す必要があるため、練習中は難しく感じやすいという特徴があります。
なぜ交互に解くと記憶に残りやすいのか
インターリービング学習法では、問題を見た瞬間に「これは微分の問題か、積分の問題か」を自分で判断する必要があります。この判断そのものが脳に負荷をかけ、知識を整理し直すきっかけになると言われています。ブロック学習では解き方がすでに分かっているため、この「判断する練習」が抜け落ちてしまう、という違いがあります。
インターリービング学習法の効果(研究データで見る)
インターリービング学習法は、思いつきの勉強法ではなく、学習心理学の研究で効果が検証されてきた方法です。
Rohrer&Taylorの実験結果
アメリカの学習心理学者Doug RohrerとKelli Taylorが2007年に学術誌Instructional Scienceで発表した研究では、大学生に4種類の立体の体積を求める練習をさせ、同じ種類をまとめて解く「ブロック学習」グループと、種類をシャッフルして解く「インターリービング学習」グループを比較しました。
1週間後に行った応用テストの正答率は、ブロック学習グループが20%、インターリービング学習グループが63%と、約3倍の差がついたとされています。Doug Rohrer氏が公開している研究解説資料によると、この結果は長期的な記憶の定着において、練習中の「できた感」よりも、問題の種類を判断する練習量の方が重要であることを示していると言われています。
練習中は成績が下がって見える理由
同じ研究では、練習セッションそのものの成績は、インターリービング学習グループの方が低い、という結果も出ています。これは、ブロック学習が「今解いている単元が何か」をすでに知っている状態で解けるのに対し、インターリービング学習は毎回ゼロから判断するため、練習中の負荷が大きいことが原因とされています。この「練習中は苦戦するが、後から効果が出る」という特徴は、学習心理学で「望ましい困難」と呼ばれる現象の一つと言われています。
補足
練習中に手応えがなく不安になっても、それ自体はインターリービング学習法が機能しているサインの場合があります。1〜2週間は様子を見てから効果を判断しましょう。
入試本番で単元が混在する問題に対応しやすくなる理由
多くの大学入試では、1つの大問の中に複数の単元の知識が組み合わされて出題されます。単元ごとに練習するブロック学習だけでは、「この問題はどの単元の知識を使うべきか」を見分ける練習が不足しがちです。インターリービング学習法は、この「見分ける力」そのものを練習するため、入試本番で複数単元が絡む問題にも対応しやすくなると言われています。
教科別の具体的なやり方
インターリービング学習法は、科目の特性に合わせてやり方を調整すると取り入れやすくなります。
数学でのやり方
数学では、単元ごとの問題集をそのまま最初から最後まで解くのではなく、複数の単元から問題を数問ずつ選んで順番を入れ替えて解く方法が基本です。例えば「二次関数」「三角比」「場合の数」から3〜4問ずつ選び、単元の順番を意図的にシャッフルして解き進めます。
理科でのやり方
理科は分野によって必要な思考パターンが大きく異なるため、分野をまとめて勉強すると「その分野の解き方」に慣れてしまいやすい科目です。例えば60分の学習時間であれば、物理なら「力学」20分・「波動」20分・「電磁気」20分のように3分野へ均等に時間を配分し、化学なら「化学反応式」15分・「モル計算」15分・「酸塩基」15分・計算問題15分のように4分野に分けて、異なる分野の問題を交互に解きます。この配分により、どの考え方を使うべきかを判断する練習になります。
英語でのやり方
英語の場合は、文法・リスニング・長文読解といった技能を1つの学習時間の中で切り替えながら進める方法が取り入れやすいです。例えば60分の学習時間を、文法問題15分、長文読解20分、リスニング15分、英作文10分のように分割し、1技能に偏らないよう構成します。
社会(歴史・地理)でのやり方
歴史の場合、1つの時代をまとめて学習するのではなく、異なる時代の出来事を比較しながら学ぶ方法が有効とされています。例えば60分の学習時間であれば、「鎌倉時代の政治」20分・「江戸時代の政治」20分・両者の共通点と違いの整理20分のように区切ると、同じ時間の中で異なる時代を往復できます。地理であれば、「気候」と「農業」のように異なるテーマを20分ずつ交互に取り上げ、残りの20分で地域ごとの関連を整理すると、単なる年号・用語の暗記にとどまらない理解につながります。
インターリービング学習法を取り入れる際の注意点
効果が報告されている学習法である一方、取り入れ方を誤ると逆効果になる場合もあります。
基礎が身についていない単元には不向き
各単元の基本的な解き方自体をまだ理解できていない段階でインターリービング学習法を取り入れると、判断するための土台となる知識が不足しているため、単に混乱するだけで終わってしまうことがあります。まずはブロック学習で基本的な解法を一通り身につけたうえで、インターリービング学習法に移行するのが無理のない順番です。
進捗管理が複雑になりやすい
複数の単元を並行して進めるため、「どの単元をどこまで進めたか」が分かりにくくなりがちです。単元ごとに簡単な学習記録をつけておくと、進捗の把握がしやすくなります。
効果を実感しにくい時期がある
先述のとおり、練習中の手応えはブロック学習より弱く感じられることが多いため、始めてすぐに「向いていない」と判断せず、最低でも2〜3週間は継続してから効果を見極めることをおすすめします。インターリービング学習法と合わせて、一定期間を空けて復習するタイミングを設計する4回復習法のような復習サイクルを組み合わせると、記憶の定着をさらに後押しできます。
始める前のチェックリスト
・各単元の基本的な解き方を一度は習得している
・1つの単元だけを繰り返す勉強に伸び悩みを感じている
・模試や実力テストまで2〜3週間以上の余裕がある
・学習内容を記録するノートやアプリを用意できる
この4つのうち3つ以上に当てはまる場合は、インターリービング学習法を試すタイミングとして適しています。
ブロック学習とインターリービング学習は、どちらが優れているというより、学習の段階によって向き不向きが変わります。
| ブロック学習 | インターリービング学習 | |
|---|---|---|
| 練習中の手応え | 得やすい | 得にくい |
| 向いている段階 | 基礎を身につける段階 | 基礎が身についた後の応用段階 |
| 長期的な記憶への定着 | 比較的弱いとされる | 比較的強いとされる |
| 進捗管理 | しやすい | 複雑になりやすい |
1週間のスケジュール例
ここでは、数学を中心にインターリービング学習法を取り入れる場合の1週間のイメージを紹介します。
平日のタイムブロック例
平日は1日60〜90分を数学の演習時間とし、その中で2〜3単元の問題を交互に解きます。例えば月曜は「二次関数→三角比→二次関数」の順で問題を解き、火曜は「三角比→場合の数→二次関数」のように、単元の組み合わせと順番を毎日少しずつ変えていきます。このような時間を区切って学習を進める考え方は、インターバル式勉強法とも共通しています。
多くの学校では学期ごとに定期テストの範囲が区切られるため、その学期で習った単元の中から組み合わせを選ぶと取り入れやすくなります。
模試・定期テスト前の調整
模試や定期テストの直前1週間は、出題範囲が決まっているため、範囲内の単元だけでインターリービングを行います。逆に、範囲外の単元まで無理に混ぜ込むと、直前期の限られた時間を分散させてしまうため、テスト範囲内に絞ることをおすすめします。
よくある質問
Q. 1人で取り入れても効果はありますか?
はい、1人の学習でも取り入れられます。ただし、どの単元を組み合わせるかの計画を自分で立てる必要があるため、最初は問題集の単元一覧を見ながら、3〜4単元を選ぶところから始めるとよいでしょう。
Q. 暗記系の科目にも使えますか?
英単語や歴史用語の暗記でも、1種類の単語・用語だけを繰り返すのではなく、複数のジャンルを混ぜて覚える形で応用できると言われています。ただし効果の検証は演習問題を使う数学などと比べて少なく、断定はできません。
どの単元をどう組み合わせればよいか、自分の状況だけでは判断しづらいという方は、松山市の大学受験塾My Self_Learnの学習相談をご利用ください。これまでの模試の結果や今の学習進度を踏まえて、どの単元から組み合わせを始めるとよいか、一人ひとりに合わせた具体的な学習計画を一緒に考えます。
インターリービング学習法とは?効果とやり方を大学受験生向けに解説:まとめ
まとめ
インターリービング学習法は、複数の単元・科目を交互に学ぶことで、長期的な記憶の定着を目指す勉強法です。練習中は手応えを感じにくいものの、基礎が身についた段階で取り入れることで、応用力を養う効果が報告されています。
まずは1教科・2〜3単元から、小さく試してみることをおすすめします。




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